こんにちは。新NISAが始まって1年が経ちましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
昨年からの制度変更で「つみたて投資枠」を活用し、投資信託をコツコツ買ってきた方も多いと思います。ところが、いざファンドを選ぼうとすると「分配金があるもの」と「分配金がないもの」が混在していて、「一体何が違うの?」と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今日は、この「分配金あり・なし」の違いや、それぞれのメリット・デメリットをやさしく解説していきます。
新NISAから1年、その背景と現状
2024年に始まった新NISA制度は、これまでの一般NISAとつみたてNISAが一本化された形で、年間の投資上限が合計360万円、そして生涯で投資できる合計枠が1800万円と設定されています。
非課税で投資できる金額が大幅に増えたため、これを機に「資産形成に本腰を入れよう」と思った方も多いのではないでしょうか。
特に、長期投資向けの商品が対象となる「つみたて投資枠」は、比較的リスクを抑えながらコツコツ積み立てるファンドが揃っているため、初めての方でも始めやすいと言われています。
そんななかで、ふと商品一覧を見てみると、同じような運用方針に見えるファンドなのに「分配金を出すタイプ」と「分配金を出さないタイプ」があることに気づくかもしれません。
そもそも分配金とは何か
投資信託は、投資家から集めたお金を株式や債券などで運用し、そこから生まれた収益をファンドの規定に従って投資家に還元する仕組みがあります。
そのうち、ファンドが定期的に投資家へ払い出すお金のことを「分配金」と呼びます。
これは株式の「配当金」と似たイメージですが、投資信託の場合は、運用成果の一部を払い出すほか、ファンドによっては元本の一部を取り崩して分配金として支払うこともあるため、配当金とは厳密に異なるケースがある点に注意が必要です。
また、分配金が支払われると、そのぶんファンドの基準価額は下がるため、実質的に「手元に戻ってきた」だけの部分もあるというわけです。
なぜ分配金があるファンドとないファンドが存在するのか
分配金の支払い方は、ファンドの設計によって決まっています。
毎月や数か月おきに分配金を出す設計のものもあれば、年に一度や全く出さないものもあります。
分配金を出さないタイプは、ファンドのなかで利益を自動的に再投資し、資産の膨らみを狙うことが特徴です。
これを「無分配型」や「再投資型」と呼ぶことがあります。
投資家にとっては、分配金を受け取らない代わりに複利の効果を得やすいのが魅力です。
一方で、分配金を出すタイプは投資家に現金という形で利益が戻ってくるため、生活費に回したり、別の用途で使いたい方には分かりやすい仕組みになっています。
しかし、その分、ファンド内に再投資されるお金が少なくなることで、長期的な資産成長の面では不利になる場合がある点がデメリットとも言えます。
分配金あり・なし、それぞれのメリットとデメリット
分配金のあるタイプのメリットは、何と言っても定期的なキャッシュフローを得られる安心感です。
特にリタイアしていて働く機会が少なくなっていたり、年金だけでは少し不安という方にとっては、投資信託からの分配金が家計のサポートになる可能性があります。
月々の生活費の一部を賄うイメージで使いやすいと言えるでしょう。一方、デメリットとしては、分配金が出るたびにファンドの資産が減り、複利効果を最大化しづらい点です。
また、新NISAの「つみたて投資枠」対象のファンドの多くは長期運用を前提としているため、分配金を極力出さずに資産を再投資するタイプが主流になっています。
一方、分配金がないタイプは、受け取れるお金が直接目に見えない分、実感としては「本当に利益が出てるの?」と思うかもしれません。
しかし、利益はファンド内部で再投資されるため、長い目で見ると資産が雪だるま式に成長しやすいメリットがあります。
特に、コツコツ積み立てを続ける方や、将来の資産形成を優先したい方は、こちらのタイプのほうが好まれる傾向にあります。
ただし、「今すぐ使える現金」という形では得られないため、もし生活費の補填が必要な状況になった場合は、自分で解約して現金を取り崩す手間がかかる点には注意が必要です。
リタイア世代が分配金ありファンドを活用する場合
新NISAが始まって1年が経った今、すでにリタイアをしていて「年金や退職金とあわせて、投資からもある程度の収入を確保したい」という方も多いかもしれません。
その場合は、分配金が定期的に支払われるファンドをポートフォリオの一部として組み込むという選択肢があります。
利回りが高めの債券や高配当株を組み入れているファンドを選べば、安定的に分配金が得られる可能性がありますが、その分リスクや運用コストも高くなることがあるため、商品性をよく確認する必要があります。
また、分配金が出るファンドのなかには、実際には元本を取り崩してまで高い分配金を出しているケースもあるため、「どの程度が運用益で、どの程度が元本からの支払いなのか」もチェックすることが大切です。
結論:自分の目的に合わせた選択を
2024年から始まった新NISAは、つみたて投資枠を活用した長期投資に最適化された制度へと進化しました。
しかし、投資家の目的は人それぞれ違います。若い世代や「これから数十年かけて資産を積み上げたい」という方は、分配金を出さずに内部で再投資を続けるファンドを選び、複利効果を狙う方法が王道と言えます。
一方、「リタイア後の生活費に少し余裕が欲しい」「ある程度の安定した現金収入があると助かる」という方は、分配金があるファンドを上手に取り入れるのも一つの手段です。
ただし、その場合は運用効率がやや下がりがちであることや、ファンドの実質的な資金の出どころがどこかを十分にチェックすることを忘れないようにしてください。
まとめ
新NISAがスタートして1年、皆さんの投資状況はいかがでしょうか。
長期投資に適した「つみたて投資枠」で投資信託を選ぶ際、分配金の有無に迷う方も少なくないと思いますが、分配金のあり・なしは運用効率や生活スタイルへのフィット感に大きく影響します。大切なのは「自分がどういう目的で投資をするのか」を明確にし、それに合った商品を選ぶことです。
これから投資信託を選ぶ方は、分配金の仕組みをしっかり理解したうえで、あなたのライフステージや資産形成の目標に合ったファンドを選んでみてください。
最後までご視聴いただきありがとうございました。もしこの動画が役に立ったと思われたら、ぜひ高評価とチャンネル登録をよろしくお願いします。それでは、また次回の動画でお会いしましょう。