2024年も5月半ばを過ぎ、今年の株式市場やETFの動向についてまとめた報告をお届けします。
2024年は経済回復の兆しとともに、様々な市場が注目される年となりました。この記事では、主要な株価指数、日本の時価総額トップ10企業の株価、穀物、貴金属、エネルギー関連、産業用金属の価格推移、そして日米の債券利回りについて共有します。
主要な株価指数のパフォーマンス
株価指数は、全体的に堅調な上昇を見せました。
特に、ナスダック総合指数(NDX)は23.53%の上昇を記録し、テクノロジー株の強さを示しました。
また、S&P 500指数(SPX)も22.66%上昇し、米国の大型株が市場を牽引しました。
日経225指数(NI225)は16.85%の上昇を見せ、日本の株式市場も比較的良好なパフォーマンスを示しました。一方、マザーズ指数(MOS)は11.19%の下落を示し、新興企業のリスクが浮き彫りとなりました。
日本の時価総額トップ10企業の株価の推移
2024年5月17日取引終了後の時価総額トップ10の企業について、年初からの株価の上昇率をグラフにしました。
業界別に見てみましょう。
まず、自動車産業についてです。ランキング1位はトヨタ自動車(7203)で、時価総額はなんと56兆円を超えています。株価は31.90%も上昇しています。引き続き為替は円安傾向にあり、業績の内容をポジティブに受け取られている投資家が多いのでしょう。
次に金融業です。2位にランクインしているのは三菱UFJ(8306)で、時価総額は19兆円を超えています。株価は26.82%の上昇を見せています。なお、10位に三井住友もランクインしています。低金利環境の中で苦戦してきた金融セクターですが、最近の金利上昇期待がプラスに作用しているのかもしれません。
続いて、電子・精密機器産業です。キーエンス(6861)は3位にランクインし、時価総額は約18兆円。株価は20.28%の上昇を見せています。また、東京エレクトロン(8035)は4位で、時価総額は17兆円、株価は50.34%も大幅に上昇しています。これらの企業は、半導体需要の高まりや自動化・精密機器の需要増加が背景にあると推察されます。
エレクトロニクス・エンターテインメントの分野では、ソニーグループ(6758)が5位にランクインしています。時価総額は約16兆円ですが、株価の上昇率はほとんどなく、0.04%です。ゲーム事業や映画・音楽事業の成長に対して、投資家の判断が分かれているのかもしれません。
総合商社では、三菱商事(8058)が6位に位置し、時価総額は14兆円を超えています。株価は47.41%の大幅な上昇を見せています。資源価格の上昇や海外事業の拡大が影響しているのでしょう。
通信業について見てみましょう。日本電信電話(9432)は7位で、時価総額は13.7兆円ですが、株価は-12.10%と下落しています。通信業界は激しい競争にさらされ、新規参入者の増加や既存サービスの価格競争が収益に影響していると考えられます。
製造業では、日立製作所(6501)が8位で、時価総額は13.3兆円、株価は42.04%の上昇を見せています。日立は電力システムやITソリューションに強みを持ち、インフラ投資やデジタル化の波に乗っていると考えられます。
小売業では、ファーストリテイリング(9983)が9位で、時価総額は13兆円、株価は18.70%の上昇を見せています。ユニクロブランドを展開し、グローバルな成長が株価に寄与しているようです。
穀物ETFの価格推移
穀物市場も注目すべき動向を見せました。
小麦のETF(1695)は18.92%の上昇、これはウクライナ戦争の影響で小麦供給が制限されたことが背景にあります。
トウモロコシのETF(1696)は3.85%の上昇、需要の安定と供給の調整が寄与しました。
大豆のETF(1697)は4.22%の上昇、飼料や食用油の需要増加が価格を押し上げました。これらの動向は、気象条件や地政学的リスクが穀物市場に大きく影響していることを示しています。
貴金属価格の動向
続いて貴金属価格の動向になります。
貴金属市場では、金(1540)、銀(1542)、プラチナ(1541)、パラジウム(1543)の価格が注目されました。金のETF(1540)は26.01%の上昇、インフレヘッジとしての需要増加が背景にあります。銀のETF(1542)は42.33%の上昇となりました。プラチナのETF(1541)は19.83%の上昇です。一方、パラジウムのETF(1543)は1.83%の上昇にとどまりました。
エネルギー関連ETFの価格推移
次は、エネルギー関連ETFの価格推移についてです。
エネルギー市場では、天然ガス(1689)、ガソリン(1691)、エネルギー(1685)の価格に注目してみました。天然ガスのETF(1689)は5.20%の下落、供給過剰と温暖な気候が影響しているものと、推察されます。エネルギーのETF(1685)は10.78%の上昇でした。ガソリンのETF(1691)は24.86%の大幅な上昇、経済回復が影響しているのでしょう。
金属の価格推移
続いては、金属価格について振り返ります
1686 産業用金属上場投信についてです。
産業用金属全体をカバーするETFで、年初から順調に上昇しています。特に4月以降、大きな上昇を見せており、5月中旬には一時40%近い上昇を記録しています。この上昇は、産業用金属の需要増加や供給の制約などが影響していると考えられます。
続いて、1692 アルミニウム上場投信についてです。
アルミニウムの価格は、年初から緩やかに上昇していますが、他の金属に比べて上昇幅は小さく、5月中旬時点で約22.77%の上昇にとどまっています。アルミニウムは建設業や輸送業など幅広い産業で使用されるため、需要の変動に敏感ですが、供給面での安定が影響しているかもしれません。
1693 銅上場投信についてです。
銅の価格は年初から安定した上昇を続けており、5月中旬時点で約38.51%の上昇を記録しています。銅は電気機器や建設資材としての需要が高いことが要因の可能性もありますね。
最後に、1694 ニッケル上場投信についてです。
ニッケルの価格は年初から大きな上昇を見せ、5月中旬時点で約35.95%の上昇を記録しています。ニッケルはステンレス鋼の主要成分であり、特にリチウムイオン電池などの電池産業での需要が高まっているなどが想定されます。
2024年の日米の債券利回りの比較
日米の債券利回りについてです。
2024年の日米の債券利回りも注目すべきです。日本国債は低い利回りを維持しつつも、上昇傾向が見られます。30年国債(JP30Y)は2.055%、20年国債(JP20Y)は0.336%、10年国債(JP10Y)は0.952%で推移しています。日本の超低金利政策が続く中、最近の経済指標やインフレ率の変動が利回り上昇に影響しています。
一方、米国債の利回りは日本国債に比べて高い水準にあり、若干の下落が見られます。2年国債(US02Y)は4.827%、10年国債(US10Y)は4.422%、30年国債(US30Y)は4.562%です。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策がインフレ抑制を目指しつつも、景気過熱を避けるための調整を行っている影響が見られます。
まとめ
2024年5月中旬までのトレンドは、経済回復の兆しとともに、多くの市場で注目すべき動向が見られました。主要な株価指数は全体的に堅調に推移し、日本の時価総額トップ10企業も多くが上昇を記録しました。穀物市場や貴金属市場、エネルギー市場、産業用金属市場など、各市場の動向はそれぞれの背景要因によって大きく影響を受けています。また、日米の債券利回りの動向も、各国の金融政策や経済状況を反映しており、投資家の行動や為替市場に大きな影響を与えます。
視聴者には、これらの情報を基に投資戦略を検討し、今後の市場動向を把握する上での参考にしてもらえれば幸いです。これからも経済や市場の変動に注目しながら、情報を提供していきますので、ぜひご期待ください。