皆さんこんにちは。今日は、新NISAを使った投資の中でも、オルカン(全世界株式)やS&P500といった海外資産を中心に積立投資をしている方が、最近の円高による資産の減少を気にしてしまうケースについてお話ししたいと思います。特に、日々の資産変動に一喜一憂してしまったり、「ドキドキが止まらない」と感じるような状況にある方は、もしかすると自分の投資戦略を見直すタイミングに来ているかもしれません。
そんなお悩みに対して、投機的な姿勢と投資的な姿勢の違いを整理しながら、どのように心構えや戦略を組み立てればいいかをご一緒に考えていきましょう。
新NISAおさらい
まず、新NISAの基本的な仕組みをざっくりと振り返ってみます。新NISAは、非課税の投資枠を利用できる制度で、投資によって得られる値上がり益や配当金が一定の範囲まで非課税になるものです。NISAには一般NISAやつみたてNISAといった種類がありますが、新NISAではその非課税枠や対象となる投資商品の幅がこれまでと少し変わり、より多くの投資家のニーズに対応しやすくなっていると言われています。こうした制度を最大限に活用しようと考える人が増え、オルカンなどの全世界株式やS&P500といった海外株中心のインデックスファンドに目を向けるケースが多いですよね。
海外投資が多いと円高の時不安に?
しかし、最近は円安傾向から少し円が強くなった(いわゆる円高に振れた)タイミングがあり、その影響で「資産が思ったより減ってしまった」「評価額が下がって、つい心配になってしまう」という声を耳にすることがあります。特に、為替の影響を強く受ける海外資産に投資していると、円高によって評価額が目減りしたように感じられることがあるのです。これ自体は為替リスクを伴う投資では当然起こりうることですし、むしろ長期で見れば為替が円安に振れた時にはプラスに働いていたわけです。ただ、こうした為替変動や相場の変動に心が大きく揺さぶられるようであれば、改めて投資戦略を点検する必要があるかもしれません。
心とお金のバランス
なぜなら、投資をするうえで「自分の心とお金のバランス」を適切に取れていないと、必要以上にストレスを感じたり、冷静な判断ができなくなったりすることがあるからです。たとえば、最近の資産変動を見て一喜一憂し、落ち着かなくなるような状態は、自分にとってのリスク許容度を上回る金額を投資に回している可能性があります。あるいは、投資で起こりうる下落リスクを正しく理解せずに、一時の好調なパフォーマンスだけを見て資金を一括投入してしまったのかもしれません。こうした状況は、投資というより“投機”に近い行動パターンになっていると考えることができます。
投機と投資の違い
投機と投資の違いを大まかに整理すると、投資は「長期的な成長や価値の上昇を見据え、リスクを理解して資金を投入する行為」、投機は「短期的な値動きに期待して資金を投入する行為」という感じでしょうか。極端に言えば、目先の為替や株価の変動にやきもきしてしまうのは、投機的な要素が強まっているサインと言えます。もちろん、私たちは神様ではないので相場の先行きはわかりませんし、思わぬニュースや経済情勢の変化によって短期的には大きな揺れが起こる可能性もあります。その揺れに対して必要以上にドキドキするのは、資金量や投資計画が自分の耐えられる範囲を超えていると考えられるわけです。
ですから、ドキドキを感じている方にまず考えていただきたいのは、「本当に自分が許容できるリスクの範囲にとどまっているか」という点です。運用資金を増やすこと自体は悪いことではありませんが、それが原因で夜も眠れなくなるほど不安を抱えたり、仕事や日常生活に支障が出るようなら、少し引き算を検討してもいいかもしれません。投資は長期で考えることが前提ですが、その長い道のりをストレスフリーで続けていくためにも、まずはメンタル面で安定していられる投資額や運用スタイルを見つけることが大切です。
長期投資 ドルコスト平均法 コツコツ積み立て
さらに、長期的にオルカンやS&P500などを積み立てていく場合、為替リスクにも気を配らなければなりません。特に円安が続いているタイミングで大きく投資をした場合、少しでも円高に動くと評価額が目減りするリスクが顕在化しやすいのは事実です。このリスクは避けがたい部分でもありますが、だからこそ、一括投資ではなく毎月一定額をコツコツ積み立てる「ドルコスト平均法」を活用して、為替レートが高い時にも安い時にも分散して買うようにすれば、長い目で見れば大きな偏りを避けることができます。
ドルコスト平均法のメリットは、「相場が下がっているときは多くの口数を買え、相場が上がっているときは少ない口数を買う」といった形で自動的に買い付け単価を平準化できる点にあります。たとえば、円安のときに無理をして全額突っ込むのではなく、円高になったときも変わらず一定額を買い続けることで、平均的な購入単価が大きく偏らずに済むというわけです。こうして為替による影響を少しずつ平準化していくことで、一時的な資産評価額のマイナスに対して過剰に落ち込む必要がなくなり、気持ちを落ち着けて投資を継続しやすくなるでしょう。
投資期間設定
次に、投資期間を明確にすることも大事です。たとえば、「10年、20年先の老後資金を作るために長期で投資をしたい」という方と、「2〜3年後に使うかもしれない資金を増やせたらいいな」と考えている方とでは、取るべきリスクが全く異なります。長期を見据えているのであれば、短期的な円高や円安に左右されすぎる必要はありませんが、逆に2〜3年先に使う可能性が高いお金なら、元本割れリスクを許容できる範囲はもっと小さくなるはずです。ここを曖昧にしてしまうと、必要になる時期に大きく目減りしてしまうリスクがありますし、リスク許容度の範囲を明確にできていないと、日々の値動きで精神的に振り回されることにもなりかねません。
資産分散
また、資産配分を考えるときに大事な観点として、“分散投資”も挙げられます。オルカンやS&P500は株式の中では分散性が高い投資先ですが、株式資産に偏りすぎていると、株式市場全体が下落したときに同時に大きく目減りしてしまう可能性もあります。そこで、余剰資金がさらにあるようであれば、債券やコモディティ、不動産投資信託など、株式以外のアセットクラスも検討してみるといいかもしれません。必ずしもすべてを分散しなければいけないというわけではないですが、自分の目標やリスク許容度に合わせて、ある程度の分散を取り入れておけば値動きの変動幅がある程度抑えられ、結果的に日々のドキドキを軽減できる可能性が高まります。
リバランス
さらに、リバランスをうまく活用するのも一つの方法です。たとえば、オルカンやS&P500に投資したあと、債券や別の株式ファンドと組み合わせている場合は、時間が経つにつれて資産の比率が崩れることが多いですよね。株式が値上がりすると株式の比率が大きくなり、債券があまり値動きしないと債券の比率は相対的に下がってしまう。そうすると、もともと想定していたリスクよりも高いリスクをとっている状態に自然と変化してしまうわけです。リバランスとは、定期的に資産比率を当初の目標に戻す作業のことで、たとえば株式の比率が膨らみすぎているなら一部を売却し、債券を買い増すことで適正な配分に戻すイメージになります。自分でこまめにリバランスするのが難しい場合は、リバランスを自動で行ってくれるロボアドバイザーや、バランスファンドのような商品を検討してみるのも一案です。
いかにして長いスパンで資産を育てられるか
このように、投資で大切なのは「いかにして長いスパンで資産を育てられるか」です。ですから、日々の値動きを見て一喜一憂したり、胃がキリキリ痛むような思いをするのは本来避けたいところですよね。投資を継続するなかで、何があっても心が揺さぶられないほどの精神的な安定感を得るのはなかなか難しいですが、少なくとも睡眠を妨げたり、日常生活の質を損ねるような投資の仕方はおすすめできません。たとえ一時的に含み益が増えていても、常に落ち着かない気分で過ごすのであれば、人生全体で見るとそれは損失になるかもしれません。
投資は最終的には自己責任ですが、その責任とは「相場を読むこと」だけではなく、「自分の精神状態をコントロールできる範囲内で投資を行うこと」にも及びます。ここを誤解してしまうと、想定外の損失を被ったときに精神的にも大きな打撃を受け、せっかくの長期投資が途中で頓挫してしまうリスクも高まります。最悪の場合、「こんなはずじゃなかった」と投資そのものから退場してしまい、長い目で見れば大きな機会損失につながってしまうこともあるでしょう。だからこそ、今ドキドキして不安だという方には、このタイミングで改めて「自分の許容リスクはどこまでなのか」「投資期間はどれくらいなのか」「分散は十分にできているのか」といった要素を一度見直してほしいのです。
アイデア
もし投資方針を明確に言葉にしていないという方がいれば、この機会に「自分は将来のためにいつまでにどんな資金を、どれだけ増やしたいのか」を文字に起こしてみるといいかもしれません。たとえば、「老後資金として20年先をめどに、年利3〜5%くらいを期待して積み立てる」「3年後に使うかもしれない頭金として、比較的リスクの低い投資先で少しでも資産を増やしたい」といった具合に、具体的な期間や目標利回りを書き出すと、自分が許容できるリスクや必要な投資額が見えてきます。目標を数字で可視化すると、短期的な相場の上下動に惑わされにくくなり、「今は下がってるけど目標の達成にはまだ時間があるし、計画通りに積み立てを続けよう」と冷静に考えやすくなるでしょう。
また、投資計画を見直すにあたっては、税制優遇を上手に活用するという視点も大切です。新NISAは、長期投資で資産形成をサポートする狙いも強い制度ですから、その非課税の恩恵を活かしつつ、なるべく売却せずに長く保有するスタンスがより効果的かもしれません。確かに、「相場が急落したらどうしよう」と考えるときもあるかもしれませんが、むしろ長期で続ける前提なら、下落局面は「安く買えるチャンス」と捉えることができる面もあります。ここで必要以上に焦って売ってしまうと、売却益に税金がかからないというNISAのメリットを十分に活かす前に手放すことになってしまうわけです。
最後に、投資を長く続けるためのコツとして、「ドキドキしない投資スタイル」を模索してみることを提案します。これは人によって答えが異なります。ある人は、「毎月自動で積み立て設定をして、相場をあまり見ないこと」が最適かもしれませんし、別の人は「やっぱり株式だけだと不安だから、少し債券や現金の比率を増やそう」と考えるかもしれません。大切なのは、その投資スタイルが自分のライフスタイルや性格、将来設計に合っているかどうかです。友人やSNSで話題になっている方法が、あなたに合っているとは限りません。逆に言えば、人と違う投資スタイルでも、自分がしっくりきて長期的に続けられるなら、それは正解に近い選択肢だと言えるでしょう。
まとめ
投資は「お金」というハード面の要素と、「気持ち」というソフト面の要素が組み合わさった総合的な行為です。日々の値動きに振り回されて心が疲れてしまっては、本末転倒になりかねません。ドキドキや不安を感じるなら、まずは自分の投資方針をきちんと棚卸しし、必要であれば分散や積立方法の見直し、リスク許容度の再考などを進めることが近道です。そうすることで、安心して長期の資産形成に取り組めるようになり、結果的に大きなリターンも期待しやすくなるのではないでしょうか。
今日は、新NISAを利用した投資で円高に振れた際の不安や、日々の資産変動に一喜一憂してしまうときにどうしたらいいのか、といったテーマについてお話ししました。投資をするうえでは、気持ちの安定がとても重要であり、そのためには投資額や期間、分散、リバランスなど、さまざまな観点から戦略を整える必要があります。短期的な値動きに過度に神経をすり減らさず、長期的な視点でコツコツ続けることが、最終的には「勝ち」に繋がる道だと私は思います。
ここまでご覧いただき、本当にありがとうございます。この動画が、自分の投資スタイルを改めて見直すきっかけになれば幸いです。新NISAを賢く使いながら、ドキドキしすぎない安心感のある投資を続けていくことで、日々の生活もより充実したものになるはずです。今日お話しした内容が、皆さんの資産形成と心の安定に少しでも役立つことを願っています。それでは、また次回の動画でお会いしましょう。